これもむかし書いたやつ。けっこう保存してあるねー。しかしいま読んだら面白くないねー

これはフィクションだぜ。勘違いするなよ



九月一日。クソ暑く、長い退屈だった夏休みがやっと終わった


俺は高校三年。
俺にはずっと思い続けているラヴリーでキュートな人がいる。同じクラスの田畑さんという女の子だ。
おまえが思う世界一のかわいい女の子を2万倍可愛くしたような女の子だ。
彼女は本当にかわいくて、夏休み中ずっと彼女のこと考えてた。
テレビを見てても、テレビに出てるどんな女よりも田畑さんのが100%かわいいとか
考えたり、外に出ても、あの曲がり角から彼女が出てきたらどうしようとか、
彼女は俺の住所を知らないが手紙が来ていないだろうかと
毎日ポストを確認したりもしてた。
もうほんとに俺は田畑さんに首ったけでほんとに好きなんだ。結婚したい。


でな今日学校いったんだよ。一ヵ月半ぶりに田畑さんに会えると思って足取り軽くな。
つまらない始業式が終わり、教室で何をしてる間も田畑さんをずっとずっと見てたんだ。

彼女は夏休み中に髪を少し染めて、大抵女性が髪を染めると魅力が少し失われるものだが、彼女の魅力はさらに引き立っている。

で帰りのときだ。

彼女は誰と帰るのかなあとか思いながら見ていたら、
男と一緒に帰ってるじゃないか。つうか石川。おい、待て石川と。なに手ぇ繋いでんだと。
俺は即座に情報収集してかなりの人数にそれとなく聞いてみたところ
どうやらふたりが付き合ってるらしいというのを20人目くらいではじめてわかった。
石川は俺の親友で本当に仲がよくて夏休み中もしょっちゅうくだらないメールの
やり取りもしていたがそんなことはおくびにも出さなかったぞ。


ああ確かに石川はカッコイイ。背は高いし痩せているしシャープな顔立ちだし女の子にも優しい。俺は別に普通だ。かっこよくもなくかっこ悪くもない。
石川はラッドミュージシャンばかり着てるし
俺はライトオンばかり着ている。


ちくしょう、夏休み中あいつらはやりまくってたんだろう。
石川は俺が夏休み中彼女について想像してたことには全部知ってるんだろう。
彼女の私服も、彼女の肌の匂いも、彼女の部屋の香りも、彼女の家の間取りも
彼女のペットのことも、彼女がどんな花がすきなのかも、
彼女の持ってる下着の枚数も、彼女の癖も、彼女がどんな動物がすきなのかも、
彼女の小さな動きも、彼女がどんなシャンプーを使っているのかも、
彼女の上擦る声も、彼女がどんな香水をつかっているのかも、彼女のあられもない姿も、
彼女のかわいい歌声も、彼女のアナルの皺の数も、彼女の食べ物の好き嫌いも、
彼女の携帯の機種も、彼女の動物占いの動物も、彼女のみつあみのしかたも、
彼女のはにかむ顔も、彼女の脇の匂いも、彼女の毛が薄いことも濃いことも、
彼女の性感帯も、彼女が俺のことをどう思ってるかも、彼女の家族関係も、
彼女の笑い声も、彼女の趣味も、彼女がぷちぷちをどんな風につぶすかも、
彼女の汗の味も、彼女の鼻をかむ音も、彼女のデスクトップの壁紙も、
彼女のオセロの戦法も、彼女の爪の形も、彼女の卒業制作も、
彼女の涙声も、彼女の星座も、彼女のタイピングのスピードも、彼女の靴の値段も、
彼女の舌の動きも、彼女の唾液の温度も、彼女の部屋の扇風機の形も、
彼女の幼稚園時代のことも、彼女が家で使ってる食器の形も、
彼女の好きな漫画も、彼女の歯ブラシの色も、彼女がナプキン派かタンポン派かも、
彼女のウォークマンの種類も、彼女の行きつけの美容室も、
彼女の家の最寄り駅も、彼女がマクドでなにをよく頼むかも、
彼女の好きな映画も、彼女のほくろとしみの数も、彼女の手相も、
彼女の家の階段の段数も、彼女があのニュースに対してどう思うかも、
彼女のかき氷のシロップの好みも、彼女が吐く白い息も、彼女の献血の結果も、
彼女の視力も、彼女の座高も、彼女の部屋の家具の配置も、
彼女のテレビのリモコンの形も、彼女の好きな本も、
彼女が米派かパン派かも、彼女が猫派か犬派かも、
彼女の部屋のカーテンの模様も、彼女の好きなブランドも、
彼女の酒の強さも、彼女のあそこも、彼女の胸の唇の柔らかさも、
彼女の思い出も、
彼女の悲しみも、
彼女の可愛さも、
彼女の魅力を全部
みんな知ってるんだ。


ああ俺も知りたい。
ああ俺も知りたい。


口惜しいからちょっとずつ石川に聞こう。
あいつは優しいから教えてくれるだろう。